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マズローの自己実現心理学
子供から大人に成長するためには、自分のやりたいことを我慢したり、衝動を抑えたりしないと、わがままで怠惰な人間になると思いがちである。多少の抑制は必要だが、「人間性の心理学」という第3の心理学を打ち立てたアブラハム・マズローは欲望と成長に関してもっと積極的な見方をする。

フロイトが主に病理的な人を対象に研究し精神分析を開発したのに対し、マズローは健康で人々から尊敬されるような人を研究対象にした。そこから欲求の階層論という仮説を導きだした。

「人間の衝動・動機・欲求は、それ自体は、けっして悪いものではなく、中性的あるいは良いものである。人間には、生得的・本能的で、基本的な欲求があり、階層的に存在している。基本的な諸欲求を適度に満たされれば、人間は、停滞することなくますます成長し、心理的にいっそう健康になっていく。」

つまり欲望を満たすともうそれにはあまり執着しなくなり、次の質の異なった欲望が現れてくるということである。

(1)生理的欲求

最も基本的で強く、最初に求めるものは、生きていくために必要な、食物、水、空気、性といった生理的な欲求である。私たちはだいたいこれらは満たされているといっていい、しかしそれだけでは満足せず次の欲求が生まれる。

(2)安全と安定の欲求

腹がいっぱいになった子供は、安心していられるように、危険から守ろうとする。これも比較的今の日本ではある程度は保証されている。安全ならそれで満足かというとそうではない。

(3)所属と愛の欲求

生理的・安全的に満たされると、それらはあまり魅力的ではなくなり、親や仲間からの愛情を欲しがる。欲求が階層構造になっているというのは、生理的・安全的状況が整っていないと愛情の欲求は生まれてきにくいからである。

(4)承認欲求

親にかわいがられていても子供は反抗するようになる。認めて欲しい、評価してほしい、自分に自身が持ちたいと思うようになったのだ。私たちの大半はこの動機・欲求に基づいて行動していることが多いので、自尊心を養うことはとても重要になってくる。なぜならそれが満たされると次に進めるからだ。

以上の4つは、必要を満たすという意味で欠乏欲求という。自分を省みてどの欲求が満たされ、どの欲求が不充分かを調べてみよう。
生命の危険にさらされず、経済的にもある程度安定し、家族と仲間がいて、他者から認めてもらえるようなことをしているか?おおむねこういったことに満足し、年がら年中4つの欲求に支配されなくなったら、次の段階に進む用意が出来たとみていい。

(5)自己実現の欲求

社会的に認められ、仲間に恵まれていても、何かしっくりこないものがある。自己実現の欲求が芽生えたのだ。「人間には、自分にしかできない固有の生き方をしたい、自分の可能性を最大限に実現したいという欲求があり、欠乏欲求が満たされた場合それを基礎にして出現する。」

マズローは成長欲求と名づけいくつかの特徴をあげている。
真・美・全体性・躍動性・独自性・必然性・正義・秩序・単純さ・無碍・楽しみといった質が重要になってくる。

このように欲望をかなえていくことにより、成長していき、成長することによって、より大きな満足、やりがいを見出していく。低次の段階にとどまっていたのではほんとに幸せにはなれないのだ。
このHPでは、愛と承認の欲求を満たし(癒し)、自己実現の欲求を目覚めさせること(気づき)を目的にしている。

*神経症的欲求
欲求は基本的に良いものだが、発達段階の適切な時期に適切な欲求を満たしていないと、神経症的な様相を示すことがしばしばある。承認をあまり得られずに育ってしまうと異常に地位、権力、名声に執着するようになりがちになる。愛情を欲しいという正当な欲求が満たされず忘れられると、本人も何を求めればいいのかわからなくなり、果てしなく金を欲しがるということになり兼ねない。その場合いくら金持ちになっても満足することはない。

神経症的欲求は「何が満たされなかったのか、何にこだわっているのかを自覚し、満たされなかった当の欲求を、自然な形で充足すれば治療できる。」高次の欲求を抱いていても腹や安全を満たすことは必要なのであらゆるレベルを配慮することが望ましい。

逆に、本人が自己実現の欲求が芽生えてきているのに気づかず、他者から認めてもらおうと努力したり、以前楽しかったことを続けても不満はつのる一方である。この不満はどのレベルのものかを見極めるのがとても重要で、欲求の階層論という地図をあらかじめ認識していることが役立ってくる。

私たちの社会や経済は、低次の欲求を満たすように出来ているため、自己実現の欲求は、すぐにどこかへ追いやられてしまう。同じような欲求を持ったものどうしがシェアする場が緊急に必要になってくると思う。そういった意味で私は自己実現のワークを共同で行うサークルを作った。


*自己実現的人間
 マズローは優れたパーソナリティーをさす言葉を集め定義し、その定義に合いそうな人物のデータから特徴を取り出し、定義を修正しなおすということを繰り返した。そしていくつかの特徴を描き出した。完全なものではないが一つの目安になる。

1.現実をより有効に知覚し、それと快適な関係を保っている。
2.自己・他者・自然に対する受容的態度
3.自発的行動
4.物事に対して、自己中心的でなく、問題中心的である。
5.孤独、プライバシーを好み、欠乏や不運に対して超然としている。
6.文化や環境からの自律性
7.人生の基本的に必要なことを繰り返し新鮮に、無邪気に、畏敬や喜びをもっ  て味わうことができる。
8.至高体験をしている
9.人類に対する同一視や同情、愛情を持っている。
10.深い対人関係
11.すべての人の平等な価値や権利を認める、民主的性格構造
12.手段と目的の区別
13.ユーモアのセンス
14.創造性
15.文化に組み込まれることに対する抵抗
16.確固とした価値体系
17.対立性の解決、欲望と理性の調和

どうでしょうか?ある状況のもとでは多少当てはまる時もあるのではないでしょうか?意識のレベルは5つのレベルを行ったり来たりしており、だいたい4番目に重心をおいていると思います。自己実現的な質を少しでも増やすには、根気のいる実践が必要なようです。

ちなみに自己実現のリストには、禅をアメリカに広めた鈴木大拙老師が入っていたそうです。

*至高体験
人生のなかでは特に感動的な体験、受験合格、出産、仕事の成功など、あるいは海や山を見ていて幸福の絶頂にあるという瞬間がある。誰もが程度の差はあれ経験している体験を、マズローは至高体験と名づけ、生活の充実や成長に対してもつ重要性を明らかにした。こういった現象に適切な言葉を与えると、より意味深く感じられ、体験しやすくなる。


現在、私たちは、自己実現的な社会を作り出そうとしている時点に立っている。そんためにはまず初めに個人の内面で実現されなければならない。次に仲間たちのなかで共有されると、個人の行動として現れてくる。そして、そのような生活を維持するために制度として埋め込まれるというステップを踏むことが必要になるだろう。

いったん自己実現欲求が芽生えると断固とした決意とともに大いなる探究に乗り出す。そして自己実現的な質を帯び始めると、最初ははかなく思えても、完全に新しい動機が自分自身の存在の深層から生まれ、すべての衝動に絶えず浸透する。すべての存在が自己実現をするよう望むようになるのだ。たとえ、低次の欲求が生活のために優先されようとも、さびしさや嫉妬やうぬぼれによってもっと成長できることを毎日気づかされても、新たな動機が私たちを働かせ始めることだろう。


参考文献  トランスパーソナル心理学  岡野守也著